文責:キミタン

キミタンのブログ。それ以上でもそれ以下でもある。

トゲの鎧を脱ごうとすれども呪いの装備

 当初の私は、まぁ端的に言って尖っていた。もっと正確にいうと尖り散らしていた。厳密にいうと尖っていたかった。面白こそ正義であり、それ以外は悪。俺のワードセンスこそ絶対かつ最強。そう思い込んでいたかった。

 

 はっきり言ってその時の自分は弱かった。パブリックイメージとしてはむしろストイックに笑いを求め、強さに満ち溢れているように見えていたかもしれないが実際はそうではなかった。尖る事でめちゃくちゃスベっても「俺は尖ってる。分からないこいつらなんて知らない。面白は万人受けを目指してはいけない。」と逃げ道を作りたかった。

 

 また、他の人の放送でも尖りを見せたかった。悪口や批判を見知らぬリスナーに撃ちまくった。暴れん坊だった。多分面白くない人が許せない上、他人を怒ることでよりストイックな気分に浸っていたのだ。

 

 そんなことを続けていたある日気付いた。「これはダサい」と。本当に面白くなるにはそんな逃げや見栄なんて捨てなくてはならないと。しかしもう遅かった。尖ることを日常としていたせいで優しくすることなんてもう出来なくなっていた。

 

 これじゃダメだと分かっているのに気付けばまた尖りを見せようとしていた。もはや義務のようにのしかかっていた。誰からも求められていない義務を果たし続けていた。

 

 そんな時、とにかくやらかした。多分突き進む事も出来た。でももう疲れていた。もちろんほとぼりを冷ましたかったのもあるだろう。でももう疲れていた。情けなく甲斐性もなく面白くもセンスも強さもない自分に気付いていたから。

 

 のうあいもいつからか収録前には動悸がした。収録してる時は純粋にお喋りが楽しかったが、すぐにまた不安が襲った。ウケてる実感など微塵も無かった。いつやめてもよかった。迷惑をかける終わり方をしたのは良くないが実際あのままの状態で続けられていたとは思えない。

 

 休んでる間に復帰に向けてこの呪いのトゲの鎧を脱ぐことを決意した。触れるもの皆寄せ付けず、自らもその鎧の重さに耐えかねているのに呪われていて脱げないそんな鎧を無理矢理でも外したかった。

 

 結果的にいうと外しきれないまま面白くなりたい欲望が先走って戻ってきてしまった。今もなお呪いは解けていない。多分神父がいなきゃ解けない物なので鎧とは一生付き合っていくのだろう。

 

 でもトゲだけでも外したかった。外れなかった。

 

 今私は必死にトゲを丸めようとヤスリにかけている。まだヤスれていないトゲもあるため、前のように吠えたりけなしたりすることもあると思う。

 

 しかしいつかは確実に全てのトゲをまるっこくして、コートとかをかけやすい出っぱりレベルにしてやるのだ。

 

 あの頃の逃げ道ばかりを作っていた私とはもうおさらばだ。自分に自信を持つことは大事だが、その自信やプライドを言い訳に悪口をいう事もヤメだ。

 

 今、あのときよりも面白くなくなっているかもしれない。尖りが好きだった人も、もしかしたらいたかもしれない。

 

 それでも私は今、あのときよりも楽しめている。これからも頑張るぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!